服を作り、服を捨てる。

わたし、ものを捨てることに関してはかなりバッサリ出来る方だと思ってきましたが、ここにきて、ちょっと停滞しています。

春の足音が聞こえますから、そろそろ冬物の整理を行う時期。クローゼットの中を見回して、今シーズン一度も、もしくはほとんど手を通さなかったものは、処分して良いものだろうと思うのですが、あっさりと処分、と決められるものと、逡巡するものがあります。

冬中愛用して、週に1度は着ていたよね、と分かってるものは、キープなのですが、かなりへたったり傷んだりもしていて、これも悩みどころ。きれいに洗濯して、来年も着られるように手当てするのが正しい対処と思われます。

今シーズンに関しては、とにかく”お出かけ”案件が激減というか、皆無に近くなったので、例年と同じようにジャッジは出来ないというのも、悩ましい原因。出番のなかった微妙な衿の形のコートは、来年もっと違和感があるはず。果たして着るのか?とはいえ、新しく買い直すとすると、予算内で同じように気に入るものを見つけられる保証もない。これは、お直しに出す、と決めました。

「高かった」「思い入れがある」「すごく気に入ってる」「まだ新しい」。

ありとあらゆる言い訳を並べて捨てられずにいるものがたくさんありますが、それを着る身体はひとつしかないのですよね。

わたしはアパレルブランドをやっていて、新しいものを作ることを生業としています。それなのに、どんどん作ります、どんどん買ってくださいね、というのも昔からなんだか違う気がしていて、困ったもんなのです。

家で働いたり、職場に行ったりする普通の毎日。時々は食事に行ったり、遠出をしたり、スポーツ観戦をしたり、アウトドアに出かけたり、普段とは違うシーンがあったりもする毎日。それぞれの場所で、自然に、楽に、そして、素敵でいられるものをと考えて物作りをしているつもりです。

とはいえ、自分でもシーズン中にまじで週1ヘビロテしたものなどは、ほんと、よれよれになっているし、うっかりそのまま料理して油を飛ばしたり、食べこぼしのシミなどもつけてしまってます。そういうのは、気に入っているから、同じもので新しいものが欲しい!となることも多いので、何度もリピートして同じ型の服を作ることも珍しくないのです。

そのくらい着たら、値打ちがあったと納得します。そして、そういうものをご用意していきたいなぁと心から思います。お客様にも、週1でマジでよく着た、と思ってもらえるものをお届けできたら、それに勝る喜びはありません。

そう思うと、ある意味洋服は消耗品だから、消耗するくらい着ていただき、そして、また新しいもので、気持ちがふわりとハッピーになるような、毎日の時間が嬉しい快適な時間になるのなら、洋服屋としてやっていく意味はあると思えます。だよね。

とはいえ、新しく作った服を試す意味もあり、クローゼットにはシーズンごとに新しいものがやってきます。ぱつんぱつんに膨らんで、そこに入れることで新たなシワが形成されるような収納は願わくば避けたいよね と思いながら、油断しているとあったはずの余白はあっという間に埋まります。

風通しよく、好きなものが並ぶクローゼットにしておきたい。
そこに、この服はラインナップされるのか?

コンマリ先生の本を読み直して、”ときめく”感じを思い出す必要がありそうです。これこれ、これが着られる季節がまたやってくる!と嬉しい服は、スタメン入りです。そうでない、というものは、最初から考え直した方がいいのかも。すっきりとしたクローゼットを実現するために、衣替えは絶好のチャンス。どのくらい減らせるのか、どれを残し、どれを手に入れて、この春と夏を過ごすのか、じっくり考えるつもりです。

 

本日もお越しいただき

ありがとうございます。

今も最前線で戦ってくださっている

世界中の医療従事者の皆様に

心からの感謝を!

 

 

 

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